相続人がいないとき。共有持分の相続はどうなるの?

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相続人がいないとき。共有持分の相続はどうなるの?

相続・遺言のブログ

2020/04/17 相続人がいないとき。共有持分の相続はどうなるの?

人が亡くなり、相続人がいない場合、

 

 

特別縁故者(相続人としての資格はないが、

 

 

被相続人と生計を同じくしていたり、療養看護

 

 

に努めたり、その他被相続人と特別の縁故が

 

 

あった者)がいるときは、

 

 

相続財産は特別縁故者への分与の対象と

 

 

なります。

 

 

 

 

ただし、相続財産が共有持分である場合は、

 

 

帰属先の問題が生じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

民法第255条の規定によると、

 

 

共有者の1人が、その持分を放棄したとき、

 

 

又は死亡して相続人がないときは、

 

 

その持分は、他の共有者に帰属します。

 

 

 

 

 

 

例えば、Aに特別縁故者Bがいて、Aは生前Cと

 

 

建物を共有していた場合、Aの共有持分は、

 

 

一見共有者Cに帰属し、Bへの分与の対象と

 

 

ならないのではないかという問題があります。

 

 

 

 

この点につき、判例は、特別縁故者への分与の

 

 

規定(民法第958条の3)を優先して適用すべき

 

 

旨を示しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、特別縁故者に対する財産分与が

 

 

なされないときに初めて、他の共有者に帰属

 

 

します。

 

 

 

 

この結論には、いくつかの理由があります。

 

 

 

 

民法第255条にいう「死亡して相続人がいない

 

 

とき」とは、相続人が存在しないこと、及び、

 

 

その共有持分が相続人不存在の手続による

 

 

清算後も、なお承継すべき者のないまま

 

 

相続財産として残存することが確定したときと

 

 

解すべきことがあります。

 

 

 

 

また、民法第958条3は、特別縁故者を保護

 

 

するとともに、特別縁故者の存否にかかわらず

 

 

相続財産を国庫に帰属させることの不条理を

 

 

避けようとするものであり、

 

 

そこには、被相続人の合理的意思を推測し、

 

 

遺贈・死因贈与制度を補充する趣旨も

 

 

含まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もし、相続財産中の共有持分が、当然に他の

 

 

共有者に帰属し、特別縁故者への財産分与の

 

 

対象になり得ないと考えると、

 

 

「共有持分以外の相続財産は特別縁故者への

 

 

財産分与の対象となるのに、共有持分である

 

 

相続財産は財産分与の対象とならないことに

 

 

なり、同じ相続財産でありながら区別して

 

 

取り扱う合理的な理由がない。」、

 

 

「共有持分である相続財産であっても、

 

 

換価して相続債権者や受遺者に弁済した後に

 

 

残った現金については特別縁故者の対象となる

 

 

のに、換価しなかった共有持分の相続財産は

 

 

財産分与の対象とならないということになり、

 

 

不合理である。」、

 

 

「たまたま遺言などがされていなかったため、

 

 

特別縁故者が相続財産から何らの分与も

 

 

受け得ない場合に備えて、家庭裁判所の審判に

 

 

よる財産分与の制度が設けられているにも

 

 

かかわらず、相続財産が共有持分というだけで

 

 

その分与を受けることができないというのも

 

 

不合理である。」、

 

 

といった問題があります。

 

 

 

 

また、共有持分も特別縁故者への財産分与の

 

 

対象となり、その分与がされなかった場合に、

 

 

初めて他の共有者に帰属すると考えると、

 

 

「特別縁故者を保護することが可能となり、

 

 

被相続人の意思にも合致すると思われる場合も

 

 

ある。」、

 

 

「特別縁故者と他の共有者のいずれに共有持分

 

 

を与えるのが妥当かを、家庭裁判所による

 

 

相当性の判断を通して考慮できるようになり、

 

 

具体的妥当性を図ることができる。」、

 

 

といったメリットがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、特別縁故者への財産分与の規定

 

 

(民法第958条の3)の適用を優先させたと

 

 

しても、家庭裁判所の判断によっては、

 

 

共有持分が他の共有者に帰属することも

 

 

あり得るということです。

 

 

 

 

以上のように、亡くなられた方に相続人が

 

 

いない場合には、特別縁故者への財産分与の

 

 

制度があるにしても、

 

 

そのようなことがあらかじめ分かっていて、

 

 

特別縁故者のような立場の者がいる場合には、

 

 

将来その者に承継できるよう、生前に遺言書

 

 

作成することをおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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